長男が毎朝取り組んでいる NHK「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」、
4月は毎週金曜日の日本文学が『走れメロス』でした。
1日たったの5分間。辞書がなくても「読めた」「聞けた」を毎日体感!
と番組紹介にあるように、「読む」ことはもちろん、聞く事で「多聴」も出来る番組なのです 。
曜日ごとにテーマが変わるので、日本文学以外にも「落語」や「世界の国」について英語で触れる事ができます。
そして毎週金曜日の「日本文学」、太宰治『走れメロス』です。
こちらはNHKのCDブックとしても出版されています。
"Run, Melos!" and Other Stories
ムック – 2019/9/14
Run, Melos!(Dazai Osamu)……走れメロス(太宰治)
The Nose(Akutagawa Ryunosuke)……鼻(芥川龍之介)
Against the Rain/The Restaurant with Many Orders(Miyazawa Kenji)……雨ニモマケズ/注文の多い料理店(宮沢賢治)
A Bunch of Grapes(Arishima Takeo)……一房の葡萄(有島武郎)
Red Candles and the Mermaid(Ogawa Mimei)……赤い蠟燭と人魚(小川未明)
I Am a Cat(Natsume Soseki)……吾輩は猫である(夏目漱石)
『走れメロス』の他、合計7作品も収録されていて大変お得感があります!
まとめて音声が聞けるのもCDブックの良さですね。
今の所、長男は「NHKゴガク」アプリを使って毎月1作品、日本文学を英語で読み聞きしています。今まで読んだ作品についてもまとめています。
小学生が読む「太宰治」作品
今回読んだ太宰治の『走れメロス』"Run, Melos!"
長男は『走れメロス』を読んだ事があります。
電子辞書を購入した際に、たまたま収録されていたので読んでみた、というだけなのですが、きっかけはどうあれ文学作品を読むのは歓迎です。
しかし、太宰治の作品で小学生向けというと、私には『走れメロス』ぐらいしか思いつきません。
小学生が読む芥川龍之介の時に調べた、齋藤孝先生がこんな本も出されていました。
「齋藤孝のイッキによめる! 小学生のための夏目漱石×太宰治」
夏目漱石と太宰治の小学生向け 9作品、解説付きで紹介しています。
『坊っちゃん』『夢十夜』『紀元節』『吾輩は猫である』(夏目漱石)
『走れメロス』『葉桜と魔笛』『黄金風景』『眉山』『斜陽』(太宰治)
*『吾輩は猫である』と『斜陽』は名場面のみを収録
日本文学史上に燦然と輝く、不朽の名作「坊っちゃん」と「走れメロス」をいっぺんに紹介する、画期的な1冊です。それぞれ、難しい言葉には注釈がつき、小学生でも読めるように工夫されています。
9作品(2作品は名場面のみですが)が1冊にまとまっていて、解説が付いているなんて小学生でも文学作品のハードルが下がって、とても読みやすそうだと思います。
しかし、この収録作品をみて、
太宰治作品は解説が付いていても難しそうだと思ってしまいました(汗)。やはりうちの子が読めそうなのは『走れメロス』くらいかなぁ。夏目漱石も「夢十夜」は難しいと思うのですが、解説があれば小学生だとこのくらいの話は読めるのでしょうか。
うちの子供達はちょっと読めない(読まない)かな〜と思ってしまいます(^^;)
英語で読む『走れメロス』
とりあえず他の太宰治作品には、おいおい触れていって欲しいという事で、
小学生向けとしても取り上げられていて、長男も読了済みの『走れメロス』を英語で読んでみた感想です。
個人的には、冒頭の一節「メロスは激怒した」が印象的な作品です。
Malos was very angry.
いきなり物語の途中のような、この唐突さ。この1文で物語に引き込まれますね。
エンジョイ・シンプル・イングリッシュ版でも、メロスはしっかり激怒しています。
次に名台詞、
「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠をさえ疑って居られる。」
I heard you kill people becouse you don't trust them. You can't be a good king if you don't trust your people.
悪徳ってどう訳されるのだろうと思っていたのですが、だいぶ違った感じに英訳されています。難易度や文字数の問題でしょうか。原文をそのまま英訳するとなると、英語レベルも上がりそうですからね。 レベルに合わせた英語で訳してくれているのは助かります。
「走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題ではないのだ。人の命も問題ではないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいもののために走っているのだ」
I have to run. He believes in me. I may be too late, but that is not important anymore. I am running to protect something much bigger.
こちらも有名な(だと思っている)名台詞。やはりちょっと簡単にわかりやすくなっている印象です。
『走れメロス』で印象に残っている箇所を英語と比べてみると、レベルに合わせてこんな風に訳すのか、というのが分かりやすいです。
話の流れを英語で捉えて楽しく学習できる、とても良くできた教材だと思います。
小学生が日本文学に触れるのに、「詳しいあらすじ」的な形で読むのも良いのかもしれません。
長男に感想を聞いたところ、「日本語の原作と一緒」と言っていました。
小学生のうちは「話を知っている」ぐらいで十分なのかな〜と思うのでした。
それにしても、『走れメロス』は面白いですね。
英語で読んでいた長男も「次が読みたいな〜」と言いながら毎週楽しみにしていました。
私も日本語原作を読み直しましたが、印象的なシーンやセリフは結構覚えているものですね。「そうそう、このセリフ」といったような名台詞、最後の名シーン、さすが名作として長年愛されている作品です。
そして、5月の日本文学は芥川龍之介の『鼻』です。
『鼻』はまさに小学生でも楽しく読める作品だと思います。長男はまだ読んだ事がないので、反応が楽しみです。